大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 昭和45年(ワ)368号 判決

原告

岡野正

被告

山田茂治

ほか二名

主文

一、被告谷口寛治は、原告に対し、金四五六、〇〇〇円及び内金四三六、〇〇〇円に対する昭和四五年六月一三日から、内金二〇、〇〇〇円に対する昭和四六年六月一日から、各完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二、被告山田茂治は、原告に対し、金三一五、三六〇円及び内金二九五、三六〇円に対する昭和四五年六月一二日から、内金二〇、〇〇〇円に対する昭和四六年六月一日から各完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

三、原告の被告谷口寛治及び被告山田茂治に対するその余の請求並びに被告池田和雄に対する請求は何れもこれを棄却する。

四、訴訟費用中、原告と被告谷口寛治及び被告山田茂治との間に生じたものはこれを五分し、その一を原告の、その余を同被告らの各負担とし、原告と被告池田和雄との間に生じたものはこれを原告の負担とする。

五、この判決は、原告において被告谷口寛治に対し金一〇〇、〇〇〇円の担保を供するときは第一項に限り、被告山田茂治に対し金八〇、〇〇〇円の担保を供するときは第二項に限り、それぞれ仮に執行することができる。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、原告

被告山田茂治(以下被告山田という)は原告に対し金四一六、二〇〇円、被告池田和雄(以下被告池田という)、同谷口寬治(以下被告谷口という)は原告に対し各自金六一七、〇〇〇円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である被告山田については昭和四五年六月一二日から被告池田同谷口については昭和四五年六月一三日から各完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

との判決および仮執行の宣言を求める。

二、被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

第二、請求原因

一、事故の発生

原告は、昭和四四年一月二五日午後一〇時二〇分頃自家用普通乗用車(埼5ら四七八)(以下原告車という。)を埼玉県所沢市金山町一三番一四号先の道路上に所沢方面に向けて道路左端に一時停車させていたところ、被告池田が私用でドライブクラブ営業者である被告山田から賃借りした普通自家用乗用車(埼5わ五四七五)(以下被告車という。)を右被告池田より右被告山田方のドライブクラブ事務所から右池田宅まで回送を依頼された被告谷口が運転して、右原告車の後方から疾送して来て、右被告車前部左側を原告車右側後部に激突させ、よつて原告車ははずみで五メートル前方の電柱に衝突して大破し、原告は本件衝突により全治三カ月を要する頸椎捻挫の傷害を負つたものである。

二、被告谷口の過失

本件事故は、被告谷口がおよそ自動車を運転するについては何時でも衝突を防止するためにハンドル操作を確実にし常に進路前方を警戒し危害を未然に防止すべき注意義務があるのにこれを怠り漫然本件被告車を進行させた過失により、本件事故を発生させたものである。

三、被告らの責任

被告谷口は前記のとおり進路前方を警戒し、危害を未然に防止すべき注意義務があるのにこれを怠り漫然被告車を運転した過失により本件事故を惹起したものであるから、被告谷口は民法第七〇九条により、被告池田は訴外池田食堂の実質上の経営者であり、また仮にしからずとするも、経営者に代りて事業を監督する者であり、本件事故は訴外池田食堂の従業員たる被告谷口が被告池田に依頼され同人の自宅に回送中に生じたものであつて、かゝる事故を発生せしめるような者を運転に従事せしめた被告池田はその選任監督に過失があつたものであるから、民法第七一五条第一項もしくは同法同条第二項により、被告山田は、本件被告車の所有であつて、自己の営む貸自動車業の営業の用に供して利益をあげていたのであるから、自動車運行供用者として自動車損害賠償保障法(以下自賠法という。)第三条により、それぞれ原告が蒙つた後記損害を各自賠償する責任がある。

四、損害 金六一七、〇〇〇円

(一)  治療費 金三〇、二〇〇円

(二)  通院費 金六、〇〇〇円

(三)  慰藉料 金三〇〇、〇〇〇円

(四)  物的損害 金二〇〇、八〇〇円

(五)  弁護士費用 金八〇、〇〇〇円

五、結論

よつて原告は、被告山田に対しては物的損害を除く金四一六、二〇〇円、被告谷口、同池田に対しては各自右全損害金六一七、〇〇〇円及びこれらに対する何れも本訴状送達の日の翌日である被告山田については昭和四五年六月一二日から被告池田、同谷口については昭和四五年六月一三日からそれぞれ完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三、請求原因に対する認否

被告らはすべて

(一)  請求原因第一項に対して、原告主張の日時・場所において原告車に被告車が追突したこと、その際原告車が破損し原告が傷害を負つたこと及び被告山田がレンタカーの営業をなしていることは何れも認めるが、その余は否認する。

(二)  同第二項は否認する。

(三)  同第三項に対して、被告谷口が池田食堂の従業員であること、及び被告車が被告山田の所有に係るものであることは認めるが、その余は否認する。

即ち被告池田は池田食堂の経営者ではなく、その実母である訴外池田テル(以下テルという。)が右池田食堂の経営者であつて被告池田は右テルより給料をもらつて右池田食堂で働いている従業員にすぎないのであつて、いわば被告谷口とは同僚の間柄にあり、本件事故は被告池田が右池田食堂の業務とは関係なくレジヤー目的で借りたものであつて、被告谷口は、被告池田より更に借り受け自己の友人の所に行くため運転している途中の事故であり、従つて、いずれにしても被告池田は、被告谷口の使用主ではない。また、被告山田は貸自動車業を営む者ではあるが、借主との賃貸借契約を締結して、引渡しを済ませた後は、賃借人の運転使用についてはなんらの支配力も有せず、かつその賃料は自動車を運行するための対価ではあつても運行による利益とは云えず、従つて被告山田は自賠法に云う運行供用者ではない。

(四)  同第四項は不知。

第四、被告らの抗弁

一、損害の一部弁済の抗弁

被告らは原告に対し本件事故による損害を填補するものとして、金二〇、〇〇〇円を支払い、原告はこれを受領した。

二、過失相殺の抗弁

仮に被告谷口に前述のとおりの過失が認められるとしても、本件事故発生地点は二四時間の駐車禁止区域であつて、しかも原告車の停車地点数メートル先にはその旨を示す標識が存していたのであるにも拘わらず、原告は右地点に原告車を停車せしめ、よつて本件事故を招いたものであるから、右は原告の過失と云うべきであり、右過失は損害賠償額の算定につき斟酌さるべきである。

第五、抗弁に対する認否

一、抗弁第一項の事実は認める。

二、抗弁第二項の事実は否認する。即ち、右被告の主張する本件事故発生地点は終日駐車禁止区域になつているのではなく、時間的制限があり、本件事故発生時は右駐車禁止時間外であつて原告には何らの過失はない。

第六、証拠〔略〕

理由

第一、事故の発生

請求原因第一項の事実中、原告主張の日時・場所において原告車に被告車が追突したことは当事者間に争いがない。

第二、責任

一、被告谷口の責任

〔証拠略〕を総合すると原告は、埼玉県所沢市金山町一三番一四号先の道路上にその地域が駐車禁止区域であることを知らずに、原告車を所沢市方面に向けて道路左側端に一時停車させ、車内でたばこを喫つていたところ、停車後一分位経た頃に後方から時速四〇キロメートルで疾走して来た被告車に追突されたこと、被告谷口は被告車を運転して本件事故発生地点から四、五キロメートル離れた被告山田の事務所を出発して浦和方面から所沢方面に向つて本件事故発生地点手前まで走行して来たものであるが、右本件事故発生地点手前で煙草を吸おうとしたが、始めて運転した車なので車内の設置器具について不慣れのため灰皿がどこにあるか判らず、右灰皿をみつけることに気をとられて前方を注視せず漫然同速度のまま進行を続けたため、事故発生地点の手前五メートルの地点に至つて始めて原告車を発見し、とつさに急制動の措置をとつたが間に合わず被告車前部を原告車後部に衝突させたこと、及び原告は右衝突事故によつて頸椎捻挫の傷害を負い、その結果昭和四四年一月二六日から同年三月六日までの間に森田整形外科病院に七日間の通院治療をうけたことが認められ、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。およそ自動車運転者は常に充分前方を注視し、機に応じ所要の措置を講じもつて事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるにも拘らず、被告谷口は右義務を怠り前認定のとおり煙草の吸殻の始末をしようとして車両内の灰皿を探すため視線を車内に移し漫然同一速度のまま前方不注視の状態で被告車を運転進行させた結果本件事故を惹起させたものであつて、この点に被告谷口の過失があるものといわなければならない。したがつて被告谷口は本件事故によつて原告が蒙つた後記損害を賠償する責任がある。

二、被告池田の責任

〔証拠略〕を総合すると、被告谷口の勤務している池田食堂は個人経営の商店であつてその名義人は被告池田の母である訴外テルであること、右池田食堂は実権はテルにあり、被告池田はその従業員として働き月金二五、〇〇〇円の給料をテルより受けていること、本件事故発生日の昼頃、被告山田、同池田間に自動車の賃貸借契約が成立し同日午後九時頃被告池田は被告谷口に対して自分の代りに自動車を被告山田方まで自分の代りに取りに行く旨依頼したこと、右依頼にもとづき被告谷口は被告山田宅に行つたこと、被告山田は被告谷口が訪ねて来た時、被告山田、同池田間に被告谷口が被告車を被告池田宅まで回送する合意が電話で成立したことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。右の認定事実によると、被告池田は被告谷口をして自己の自動車引取り債務の代行者として、即ちいわゆる履行補助者に準ずるものとして、被告山田方に行かしめたのであつて、右被告谷口が被告山田方において被告車を受けとつた時点において被告池田の支配力が被告車に及んだものである事実が認められるが、被告池田、同谷口間には、使用者被用者の関係はもちろん被告池田が使用者に代りて右池田食堂の事業を監督する者であると云う事実は認めることができない。従つて被告池田は、原告主張のような民法第七一五条第一項ないし同法同条第二項の責任を負うべきいわれはなく、本件事故によつて原告が蒙つた後記損害を被告谷口と共に賠償する責任はない。

三、被告山田の責任

被告山田が被告車の保有者であることは当事者間に争いがないところ、〔証拠略〕を総合すれば、被告山田は、約七年前から許可を受けて所沢レンタカーの商号のもとに被告車を含む自家用自動車四台を有償で貸渡すことを業としていた者であるが、被告山田は昭和四四年一月二五日に被告池田に同日から三日間の約束で自動車を貸渡す約束をし、同日夜九時頃本件被告車を被告谷口が引きとりに来たことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

そこで被告山田が自賠法第三条にいう「自己のために自動車を運行の用に供する者」であるかどうかを検討するに、通常の場合、自動車の当該運行に対する直接支配と運行利益の帰属する者をいうと解して妨げないであろう、しかしながら近時の自動車の激増に鑑み、民法の過失責任、使用者責任のみでは保護されない被害者の保護を厚くし、多発する交通事故に対処するために設けられたのが自賠法第三条であり、かつ衡平の見地から実質的に損害賠償義務者を定めんとする配慮から限定されているものであることは論をまたない。従つて右にのべた目的論的見地より考察すれば、自ら運行の危険を作出した者は、その者がたとえ間接的にしか当該自動車を支配していなかつたとしても、当該運行により利益をうける限り、その者を「自己のために自動車を運行の用に供する者」と解するのが妥当であることは当然である。ところで他人に自己所有の自動車を業として短期間賃貸しその賃料取得を目的とするいわゆるドライブクラブの場合には、運行利益の点について、貸渡業者はタクシー営業と同じくその保有者の運行によつて直接利益を得るものであり、運行支配の点についても、貸渡業者はその意思によりその保有者を運行の用に給し、借受人は客観的には貸渡業者の事業の遂行のためその保有車を運行するのであり、この場合外形上は貸渡業者の自家用車が走行するのであつて、借受人の保有車が走行するのではなく、しかもその走行は貸渡業者の意思によりその利益のためになされているのであるから、貸渡業者は間接的にせよ運行を支配しているものというべきであり、かかる貸渡業者はこれを「自己のために自動車を運行の用に供する者」と解すべきである。本件では前記認定のとおり、被告山田が本件自家用自動車(被告車)を有償で貸渡すことを業としていて、その営業上右被告車を被告池田にレジヤー目的のため三日間のみ貸渡したことからすると、被告山田は前記認定の理由により間接的にせよ被告車の運行を支配し、かつ右運行により利益を得た者といいうるから被告山田は「自己のために自動車を運行の用に供する者」として自賠法第三条により本件事故によつて原告が蒙つた後記第四の四の物的損害を除く各損害を賠償する責任がある。(但し自賠法第三条は人的損害に対してのみ適用があり、物的損害に対しては適用がないから、被告山田は後記第四の物的損害については損害賠償責任を負わない。)

第三、過失相殺

〔証拠略〕によると、本件事故現場は駐車禁止区域であつたこと、原告は右駐車禁止区域であることを知らずに本件事故現場において原告車を一時停止させたことが認められる。自動車運転者は駐車禁止区域に駐車させてはならない義務があるにも拘わらず、原告は前記認定のとおり駐車禁止区域である本件事故現場に原告車を一時停止させた結果本件衝突事故に遭遇したものであり、原告にも過失があるといわなければならない。原告の過失と被告谷口の過失とを比較すると、双方の過失の度合は大体原告二に対し被告谷口八の割合であると認めるのが相当である。

第四、損害

一、原告の通院治療費

〔証拠略〕を総合すると、原告は昭和四四年一月二六日から同年三月六日までの間に川口市並木町の森田整形外科に七日間通院し、その際治療費として金三一、二〇〇円を支払つたことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はないから、原告は本件事故により同額の損害を蒙つたことになる。右は本件事故と相当因果関係にある損害というべきである。もつとも本件事故については前記のように原告にも過失があるのでこれを斟酌すると、被告山田、同谷口に対する通院治療費賠償請求額は金二四、九六〇円となる。

二、交通費

〔証拠略〕によれば、原告が被告谷口の勤務先である池田食堂に本件事故の損害賠償について交渉に行く際、友人の自動車を借り、その費用として金六、〇〇〇円を支払つたことが認められる。

しかしながら前記第一項で認定したように、原告は昭和四四年三月末には、本件事故により負つた傷害は治癒したと認められるので、被告谷口方に自動車で行く必要性は本件全証拠によつても認められないから、バス等の乗物を利用すれば当然支出した筈のものとして交通費として金五〇〇円の限度で本件事故と相当因果関係ありと認めるのが相当である。もつとも本件事故については前記のように原告にも過失があるのでこれを斟酌すると、被告山田、同谷口に対する交通費賠償請求額は金四〇〇円となる。

三、慰藉料

原告が本件事故により頸椎捻挫の傷害を負い昭和四四年一月二六日から同年三月六日までの間に七日間通院しうち一ケ月半の間頸部にコルセツトをはめたこと、その後も原告が被告谷口方に示談交渉のため行つたことの前記諸事実に加え、原告本人尋問の結果によつて認められるところの本件事故によつて受けた傷害のためタクシー運転業務に転じた後も首がつつた事実に鑑み、原告は本件事故によつて多大の精神的苦痛を受けたことが推認される。右事実と前認定の原告の過失の度合その他本件全証拠によつて認められる諸般の事情を斟酌すると、原告が受けるべき慰藉料の額は金二四〇、〇〇〇円をもつて相当と認める。

四、物的損害

〔証拠略〕によれば、原告は原告車を金三七五、〇〇〇円で買い本件事故当時まで約六ケ月間使用していたこと、原告は本件事故後、訴外有限会社第一自動車工業所に原告車の本件事故により破損した部分の修理について見積を依頼し、同社より金二〇〇、八〇〇円との見積書の提出をうけたが、修理したとしても狂いがあり事故前の状態には復元しないとして廃車したことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。そうすると右修理をすれば要したであろうと認められる費用金二〇〇、八〇〇円が本件事故により蒙つた損害である。もつとも本件事故については前記のように原告にも過失があるのでこれを斟酌すると被告谷口に対する物的損害(原告車両修繕費)請求額は金一六〇、六四〇円となる。

五、弁護士費用

〔証拠略〕によると、原告は本件事故による損害について再三被告らと交渉したが、示談成立しなかつたので、原告はやむなく法律扶助協会を通じ昭和四五年五月三〇日原告訴訟代理人弁護士岩城武治に訴訟提起を委任し、手数料として金三〇、〇〇〇円を支払い、謝礼として本訴認容額の一割を支払うことを約したことが認められる。不法行為の被害者が賠償義務の履行を受けられない場合権利を実現するには訴を提起することを要し、そのためには弁護士に訴訟委任するのが通常の事例であるから、本件において示談が成立しなかつた以上、弁護士に訴訟提起を委任し被告らの責任を追及することはやむを得ないところであり、しかして本件事故のような不法行為による損害賠償請求訴訟をなす場合に要した弁護士費用のうち権利の伸張防禦に必要な相当額は当該不法行為によつて生じた損害と解するのが相当であるが、その額は事案の難易、認容すべきとされた損害額その他諸般の事情を斟酌して決定すべきであつて、委任者が負担を約した弁護士費用全額が損害となるものではない。これを本件についてみれば、金五〇、〇〇〇円が被告山田、同谷口をして原告に対し賠償させるべき弁護士費用と認めるのが相当である。

第五、弁済と充当

原告が本件事故に基く損害賠償として、被告谷口から金二〇、〇〇〇円を受領したことは、当事者間に争いがないので、原告の前記損害金に充当することとする。

第六、結論

よつて原告の被告谷口に対する本訴請求は、被告谷口に対し第一、二、三、四、五の合計金四七六、〇〇〇円から第五の金二〇、〇〇〇円を控除した金四五六、〇〇〇円及び内金四三六、〇〇〇円に対する本件訴状送達の日の翌日であること本件記録に徴し明らかな昭和四五年六月一三日から、内金二〇、〇〇〇円(認容された弁護士費用金五〇、〇〇〇円から原告が概に支払つた手数料金三〇、〇〇〇円を控除した残額金二〇、〇〇〇円)に対する本件判決言渡日の翌日である昭和四六年六月一日から、各完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度においては理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、原告の被告山田に対する本訴請求は、被告山田に対し第四の一、二、三、五の合計金三一五、三六〇円及び内金二九五、三六〇円に対する本件訴状送達の日の翌日であること本件記録に徴し明らかな昭和四五年六月一二日から、内金二〇、〇〇〇円(認容された弁護士費用金五〇、〇〇〇円から原告が既に支払つた手数料金三〇、〇〇〇円を控除した残額金二〇、〇〇〇円)に対する本件判決言渡日の翌日である昭和四六年六月一日から、各完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度においては理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、原告の被告池田に対する本訴請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担については民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条第一項を、仮執行の宣言については同法第一九六条第一項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 松沢二郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例